ブレーキローターの知識
スリットローターの回転方向
スリットローターの取り付け推奨回転方向について
上記の取り付け方向と逆に取り付けても性能に問題はありませんが、6本以上のスリットローターを逆回転に取り付けされますとパッドの磨耗が早くなりダストが増えることがありますので推奨はしておりません。
またベンチレーションに方向指定がある場合はこの限りではありません。
スリットのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
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スリットのメリット
①制動力の向上
スリットによりパッドがローターに食い付き、かつパッドの表面を常にクリーンに保ちローターとの隙間が減少します。
これにより摺動面積が増え制動力が向上します。特に高速域からのブレーキング時に効果的です。
②ブレーキローターの放熱性の向上
わずかではありますが、スリットにより表面積が増え放熱性が向上します。
③ブレーキング時のペダルフィーリングの低下の抑制、向上
ブレーキングを繰り返すとパッドからダストと炭化ガスが発生します、またパッドの表面が炭化して平らではなくなるためにタッチが悪くなります。
スリットによりこれらを排出するためペダルフィーリングの低下を抑え、向上いたします。
④耐フェード性の向上
ブレーキング時にパッドとローターが摩擦され熱を持ちます。
これを何度も繰り返し温度が上昇、パッドの中に含まれる成分が設定温度を超えると分解されガスが発生、この炭化ガスがブレーキローターとパッドの間に入り込み潤滑剤のような働きと逃げ場のないガスがパッドとローターを引き離そうとする力を生み摩擦係数が低下します。
これがフェード現象です。
その炭化ガスをスリットにより効率よく排出、また放熱性も向上するためフェードの発生を抑制いたします。
⑤ファッション性向上
価値観は人それぞれですが飾り気のないノーマルローターに比べ、ホイールからスリットが覗いていると格好良く見えます。
VOINGでは全21種類にも及ぶデザインで自分だけのブレーキスタイルをお選び頂けます。
スリットのデメリット
①パッドの磨耗が早くなる
スリットがパッドの表面を削ってしまうためにパッドの磨耗がわずかながらに早まります。
②ブレーキング時擦れる音が発生(ゴーという音でブレーキの鳴きとは別です)
ブレーキパッドとスリットが接触する際にスリット音と呼ばれる音が発生してしまいます。ブレーキパッドとローターの相性や当たりが出ると鳴らなくなる場合がございます。
商品の異常ではありません。
③コストの上昇
スリット加工を加えることによりどうしてもコストが上がってしまいます。
VOINGではお客様のスタイルに合わせた21種類中から選択して頂けるようになっております。
ブレーキローター・ブレーキパッドの当たり付け
ご使用されるローターとパッドの組み合わせや使用ステージなどによって異なるため一概には言えませんが、300~1,000Kmほど走行が必要になります。
その際は、急な制動やブレーキを引きずったままの走行等はお控えください。ヒートスポット・ジャダー(歪)の原因になります。
ブレーキパッドの知識
摩擦係数
ブレーキパッドの性能を表す数値に摩擦係数があります。摩擦係数とは二つの物体が接している面の摩擦度合いを表すものです。数値が低いほど摩擦が少なく(滑りやすい)、高いほど摩擦が大きい(滑りにくい)ことを表します。例えば物体Aを水平方向に引っ張って(外力F)動かそうとするとき、力が弱いと物体は動きません。これは物体Aとの接触面に外力Fと同じ大きさと反対向きの力が物体に作用するからです。これを摩擦といい、この抵抗力を摩擦力といいます。この摩擦力がある程度限界に達すると物体は動き出します。このとき物体Aが静止している状態の摩擦力を最大静止摩擦力といいます。図で示すと最大摩擦力は5kgFとなります。このとき物体Aの重量が10kgの場合、この物体に動く反力も10kgになります。反力と摩擦力の比を摩擦係数といいます。
静止摩擦係数(μ)=最大静止摩擦(F)/反力(重量)(W)という式で求められます。
図の場合の摩擦係数は0.5となるわけです。
車のブレーキの場合はキャリパー、ペダルを踏む力(液圧)等で計算式が変わってきます。摩擦係数が高いパッドほど少ない踏力(液圧)でブレーキを効かせることができ、これが初期制動の高さとなります。しかし、摩擦係数が高すぎると少しペダルを踏むだけで唐突に効くためいわゆるカックンブレーキになり扱いづらくなります。逆に摩擦係数の低いパッドはブレーキを踏んでも効きづらく、初期制動が低いと表現されます。摩擦係数と初期制動を重視しがちですが、摩擦係数は温度や車の速度で変化してしまうためそこも重要な部分となります。
基本的に低温時と超高温時には摩擦係数が低下するという傾向にあります。低温時に摩擦係数が低いとストリートでしようする場合ブレーキの効きが悪く感じ、超高温時に低いとサーキット走行等で問題になります。
またストリートで使用し法定速度内でのブレーキングで一定の摩擦係数が得られていても、サーキット等で時速200キロからのブレーキングで摩擦係数が不安定になると非常に危険です。
ブレーキローター・ブレーキパッド共通の知識
ブレーキパッドとブレーキローターの交換時期
ブレーキパッドの交換時期
ブレーキパッドの交換時期の目安ですが、よく目安として~万キロ走ったら交換というのがあります。 これはブレーキの使用状況(ブレーキの使用回数、速度域、坂道が多い場所での運転)により変わってくるため、距離で判断するのは危険です。
ですので交換の目安はパッドの厚みで判断するのが確実です。VOINGではパッドの残量が4~5mmで交換を推奨しております。
厚みで見るとまだ使えると思いがちですが、厚みがなくなると熱に弱くなりフェードやヴェイパーロックを招きやすくなります。
パッドによってはウェアインジケーターと呼ばれる磨耗具合を音で知らせてくれる部品が付いております。
ブレーキング時にキーという高い音が聞こえる場合はパッドの厚みが無くなり、このウェインジケーターがブレーキローターに接触しているため交換時期ということになります。
しかしこのウェアインジケーターの音はしばらく走行していると消えてしまうため、ブレーキが復活したと勘違いしてしまいがちです。
やはり目視で厚みを確認するのが望ましいです。
ブレーキローターの交換時期
ブレーキローターは国産車と輸入車によって違ってきます。
まず国産車の場合ですが、ブレーキの鳴きを抑えるためにパッドのほうが先に減るように設計されております。そのため新車購入後廃車になるまで1度も交換することがない場合もあります。対して輸入車はブレーキパッド同様にブレーキローターも減るように設計されております。
ブレーキパッドを2、3回交換毎にローターを交換を推奨している場合もございます。こうすることにより制動力の低下を抑え安定した効きを維持することができます。このため輸入車はブレーキダストが多くホイールがよく汚れてしまいます、VOINGノンダストパッドに変えると格段にダストが減るのでオススメです。
交換時期ですが、これもパッド同様にブレーキの使用状況によって大きく異なります。
サーキット走行やローター攻撃性の高いパッドを装着している人は減りがはやく、対して街乗りでの使用オンリー、普段の足や週末にドライブ程度のご使用であれば減ることは少なくなります。ですのでパッドと同じようにローターを目視で確認することが望ましいです。
ブレーキローターには磨耗限界値を示す「MIN TH○○○」と刻印されております。
フロントローターで片面1mm(両面で2mm)、リアローターで片側0.5mm~0.75mm(両面で1~1.5mm)の磨耗がおおよその目安です。
VOINGローターのスリットの深さはおよそ0.5mmですので、スリットが完全になくなるとそろそろ交換の時期かな?という具合になります。
ブレーキパッドとブレーキローターは同時交換が好ましい?
疑問に思ってらっしゃる方が多いと思います。
答えは「YES」です。
ローターが全く磨耗していない場合はパッドのみの交換で問題はありません。
しかしローターが磨耗している場合、特に編磨耗している場合は同時交換する必要があります。
編磨耗とはローター表面がレコード盤のような筋が入っている状態や写真のように両端に耳が立っている場合です。
このような状態になると図のようにローターとパッドの接地面が不安定になり、効きも弱く鳴きが出やすくなります。
ブレーキローターが編摩耗している場合、本来のブレーキ性能を引き出すことができませんので同時交換をオススメいたします!